DAYLIGHT FONTS BLOG DAYLIGHT FONTS
このブログでは、ハーブ・ルバーリン(Herb Lubalin)や、レア書体のフォント化、気になる書体やタイポグラフィー情報を配信しています。
2009.08.21
Photo-Lettering Inc. サイトがプレオープン
Photo-Lettering Inc.(以下、PL社)のサイトがプレオープンしています。
同社は1936年にNYで設立され、'97年まで存在した書体メーカーで、その間に約6500書体をリリース。
プッシュピン・スタジオのミルトン・グレイザー(Milton Glaser)やシーモア・クワスト(Seymour Chwast)らがデザインを手掛け、
当時、アメリカを代表する書体メーカーのひとつでした。

日本でも人気の「Bauhaus」や「Edwardian Script」を手掛けた巨匠エド・ベンギアトは、
'62年より同社でデザイン・ディレクターとして活躍。
'70年には、Lubalin, Burns & Co. のルバーリンとアーロン・バーンズ(Aaron Burns)、
PL社を設立した エドワード・ロンテイラー(Edward Rondthaler)の3人によって、
ITC社(International Typeface Corporation)が設立されました(現在、ITC社のオーナーはMonotype社)。

近年、デザイン会社 House Industries がPL社のコレクションを買い取り、復活したようです。
PL社のフォントは「PL Behemoth Semi-Condensed」(フォント名の前に「PL」と付く)など、
数えるほどしかリリースされていませんでしたが、
これによって、Vincent Pacella や Dave West など、PL社の優れたデザイナーのレア書体がデジタル化されるはずです。

僕が持っている'70年代にリリースされたPL社の極太カタログ「One Line」と「Vol. 3」では、
アルファベットの一部しか掲載されておらず、デジタル化できずにいたので今からたのしみです。

ちなみに、レア書体情報を交換している Justin Thomas Kay 氏のブログに同書のことが書かれています。
Justin Thomas Kay - Photo-Lettering Inc.
 
Photo-Lettering Inc. 参考
Photo-Lettering Inc.
2009.08.17
Futura Hairline
Extra-Light より細いフーツラが欲しいと思って作成中のフォント。
ヘアラインといっても「L&C Hairline」ほど極細ではありません。

2009.08.17
FUTURA EXTRA-BOLD についての考察
フーツラを使っていて気づいたこと。
エクストラボールドには大きく分けて、2種類が存在するようです。
サンプルを見比べてください。
各画像の右側は、そのスタイルを採用したフォントメーカーです。
 
Image Club Graphics
Neufville
Linotype
Monotype
Adobe
Bitstream
Elsner+Flake
URW
Scangraphic

全体的に微妙に違いますね...。
「G」「Q」「g」「5」は決定的に違います。
拡大すると...。

サンプルAは、接続点にくぼみがあり、「T」のバーが垂れ気味です。
ずっとこれに違和感があったんです。
Scangraphic 社のものはAのスタイルでありながら、くぼみや垂れはなく、
Berthold 社製に限っては、ふたつをミックスしたようなデザインです。

すごく気になって、書体デザイナーの小林章さんに質問してみました。
小林さんのブログ「ここにもFutura」の記事「各社のFuturaの違い」に回答が掲載されています。

フーツラはパウル・レナーによってデザインされ、1928年に Bauer 社よりリリース。
1999年、フーツラの版権を持つ同社は、Neufville 社にデジタル化を依頼しました。

実は「Futura Extra Bold」とイタリックに関しては、パウル・レナーによるデザインではなく、
Intertype 社の Edwin W. Shaar によるデザインで、1952年にリリースされたようです(通称「Intertype Futura」 )。

ちなみに、Linotype 社は「Spartan」、Intertype 社は「Vogue」というフーツラそっくりの書体をリリースしています。

以下、フーツラ関連のデータをまとめてみましたので参考にしてみてください。

Date Typefaces and Weights Designers Foundry
1928 Futura Light, Medium, Bold, Bold Oblique Paul Renner Bauer
1929 Futura Black Paul Renner  
1930 Futura Light Oblique, Medium Oblique, Demibold, Demibold Oblique Paul Renner Bauer
1932 Futura Book Paul Renner Bauer
1932 Futura Display (Futura Schlagzeile) Paul Renner Bauer
1936-1952 Steile Futura Paul Renner  
1939 Futura Book Oblique Paul Renner Bauer
1952 Futura Extra Bold Edwin W. Shaar Intertype
1955 Futura Extra Bold Italic Edwin W. Shaar
Tommy Thompson
Intertype
1936-1947 Twentieth Century Sol Hess Monotype
1960 Futura Maxi Victor Caruso Photo-Lettering Inc.
1991 Century Gothic   Monotype

ふたつのサンプル、一体、どちらが本来の「Futura Extra Bold」なのでしょうか?

1972年にデザインされたハーブ・ルバーリンのポスターを見てください。

Herb Lubalin, 1972

@のフーツラですね。
右は@を重ねたものですが、ほぼ一致します。

ここで忘れてならないのが、「Twentieth Century」の存在です。
フーツラをベースにし、1936-1947年に掛けて Sol Hess によってデザインされた書体です。

もしかして、このポスターの書体は「Twentieth Century」なのか?
Twentieth Century Ultra Bold」と@を重ねてみると...。



違うんですよね...。

また、「Flyer」という@にそっくりなレア書体がありますが、それでもありません。
 
The Third Wave - Here And Now [ 1970 ]
一瞬、@に見えますが、「G」に注目。
おそらく「Flyer」という書体です(VGC からは「Chicago Sans Serif」という名前でリリース)。
ちなみに再発盤のジャケットは「Bauhaus Heavy」に変更されました。

書体見本帳を調べてみると...
 
書籍名 発売年 スタイル
Homage to the Alphabet 欧文書体集 1488 1991年 @
VGC Alphabet Library 1990年 @
Mecanorma Graphic Book 14 1988年 A(Neufville

おそらく、Image Club Graphics 社製の@は Intertype 社の「Futura Extra Bold」をフォント化したもので、
こちらがオリジナルなのような気がします。

参考
Herb Lubalin anti-war poster

※2009年9月23日修正

2009.08.17
女性アートディレクター Annegret Beier
アネグレット・バイヤーは、ハーブ・ルバーリンのフランスのパートナー会社である
Lubalin, Delpire & Cie, Paris の女性アートディレクター。
キャシャレルのロゴや香水ボトルなどのプロダクトデザインも行ったようです。
ちなみにキャシャレルのロゴは、ルバーリンの事務所に在籍した三浦滉平さんによるレタリングのようです。
 
Cacharel Cacharel Logotype
Art Director : Annegret Beier
Lettering : Kohei Miura
2009.08.17
レア書体「LSC Book」を復刻
「LSC BOOK」という書体をデジタル化してみました。
ウエイトは、Regular / Bold / Extra Bold に、それぞれイタリックがあり、1970年頃のデザインだと思います。
使いたかったのは Extra Bold Italic で、とりあえずベースとなる Extra Bold を作成。

LSC Book Extra Bold

Data : LSC Book by Tom Carnase for ITC/LSC
 
LSC LSC [ Lubalin, Smith, Carnese]
1969年、ハーブ・ルバーリン、アーニー・スミス、トム・カーネイズらによって設立されたデザイン事務所で、
ITCへ書体供給を行いました。
LSC Caslon No. 223」や「LSC Csalon Swash」など、一部デジタル化されていない書体があります。
Newer Posts Home